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Japanische Klassiker mit Furigana

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いきふどう

橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇

橘 外男

Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme

Aozora Bunko

と、はじめはお兄さまもあいてにされませんでした。

「それより、もっとよい場所に、あたらしく家をたててあげるよ。そこでゆっくりと保養をするんだな?」

しかし夫人は、あたらしい家をこしらえていただくよりも、ただ無性にこの山茶花屋敷ばかりが頭にこびりついてはなれなかったのです。

いまから思いあわせると、もうそのころから、そろそろ夫人のうえには、あやしい影がおおいはじめていた証拠だといえるのかもしれません。

とにかく、夫人のように胸をわずらっている病人にとっては、この山茶花屋敷ほど、絶好なところはないのです。

はるかに大村湾のけしきを一望のうちにのぞんで、遠くむらさきいろにかすんだ島原半島の山々をながめ、小だかい丘を背に、庭はひろびろと林にかこまれて陽あたりがよく、これほどうってつけのところはありません。

それに、博士も、一も二もなく夫人にさんせいされましたので、お兄さまも、やっとのことでここへすむことを同意されました。そして、玄関のとなりへ診察室と待合室をつくって、裏庭の池にのぞんだ築山のかげには、夫人のために洋風の寝室を建てましされました。

お兄さまは、妹夫婦のために、じぶんのかかえ車夫だった吉蔵という屈強な男と、おもとという忠実な女中とをまわしてよこされ、それでもまだ気にかかるのか、夜が無用心だろうと、何