Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
その私の耳に今度は低い子供の声で「爺や! 厭だよう! 藤やを叱っては厭だよう!」と幾分掠れを帯びて聞えてきた。掠れてはいても子供の声たることには疑いがなかった。子供も一緒にいるんだなと思った瞬間、今の私の竦んだ気持は消えて、今度は言い知れぬ好奇心がむらむらと湧き起ってきた。
咽んでいるにせよ、叱られているにせよ、人の話を立ち聴きすることがいいことは決して思えなかったが、場所が場所、時が時だけに私は抑え難い好奇心を昂らせながら、声のする方へと、そーっと跫音をしのばせて行った。そして声はどうやらここから七、八間ばかりも離れた森のすぐ側の、夕陽の中にも一際目立つ大きな墓の陰から洩れているような気持であった。
そして青萱の蓬々と足に絡まる墓場の中を、跫音を忍ばせて近づいて行った私は、つい二、三間先のその辺でも殊に大きな墓の前に三人の男女が佇んでいるのを見たのであった。
一人はゴツゴツの木綿縞らしいものを裾短に着た老爺であった。そして今までこの老人に叱られていたのであろう。涙ぐんでいる女というのは、年の頃二十五、六、一見しかるべき大家の女中かとも思われる髪を島田に結った上品そうな婦人であった。