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Japanische Klassiker mit Furigana

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いきふどう

橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇

橘 外男

Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme

Aozora Bunko

その婦人に縋りついて涙を一杯留めた眼で凝乎と老爺の方を凝視ているのはまだやっと十二、三の青白い頬をした世にも美しい少年の姿であった。

老爺と婦人とこの二人の挙措が、どことなくこの少年に対して慇懃を極めているところから推して、この幼い少年が恐らく二人にとっては主人筋にでも当っていたのであろうか。無帽の黒い艶々とした髪が女の児のように房々と波打っている様子と言い、睫毛の長いパッチリとした涼し気な眼が悧し気に今涙を含みながら瞠っている様子と言い、青白い頬、華奢な手足……それはまったく女の子にも見紛うべき美少年であった。ただ強いて難を言えば、もうやがて梅雨が来るというこの蒸し暑い時候に、子供らしくもなく足袋を穿いて、絣の着物を裾長に着て、帯を胸高に締めている様子が、どこか私に役者の子か病身の子を思わせるような柔弱な感じを与えていた。

老爺はお墓に向っていかにも懐かし気な様子で何かしきりに呟きながら、せっせと閼伽桶の水を掛けてはその台石のあたりを浄めていたが、今度はハッキリと私の耳にも聞えたのは、その浄める手を止めて婦人の方に押し出すように呟いた低い嗄れ声であった。