Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
「な、な、なんとめさるこの一局をかたづけずに?」
「さよう! 卑怯なかたのおあいては、てまえには、つとまりかねます」
「ひ……ひ、卑怯とは……?」
「さようではござりませぬか! てまえの打った石におどろいて、すでにお打ちになったごじぶんの石をとりのけようとは、卑怯ではございませぬか」
「しかし、まだ石を打たぬのだから、さしつかえないではないか! 拙者が石を打ちおろさぬうちに、そこもとが打ちおろされた。いわば、はやまってそこもとが打ちおろされたも同然……拙者、とりのけたからとて、いっこうさしつかえないと思うのじゃが」
「恥をお知りなされませ、御家老! 若年とあなどっておいいくるめなされますか! 戦場で弓矢をあわせながら、敵のいきおいにおどろいて、あわてて軍勢のたてなおしをなされますか? 卑怯未練なおかたのおあいては、てまえにはつとまりかねます」
「…………」
理の当然のことばに、かえすことばもなくさしうつむいたとたん、
「ごめん!」
と少年は刀をひっさげて立ちあがりました。
「さようか……ぜひもござらぬ!」
と、しかたなく左近将監も立ちあがりましたが、たださえ癇癪のつよい性質、おまけにさっきから負けつづけてムシャクシャしているところへ、卑怯者恥をしれ! と少年にののしられたことばがよっぽど身にこたえたのでしょう。