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Japanische Klassiker mit Furigana

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いきふどう

橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇

橘 外男

Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme

Aozora Bunko

くちびるをかみながら、無言でたちあがって玄関へ見おくろうとしたその顔が、とつぜんに朱をそそいだようにまっかに燃えあがったとみた一刹那、もはや勝敗にまったく目がくらみきっていたのでしょう。

「ウヌ暴言思いしったか!」

とばかり、背後からいきなり抜き打ちにバサッと、けさがけに肩から切りおろしました。サッと血は天井にも欄間にもしぶいて、少年は二足三足よろめきましたが、さすがは名門の若君、重傷にもめげず、全身紅にそまりながらも刃を抜きあわせました。

「ウウム、無念! かかる卑怯者とはしらざりしが不覚! ウウム、無念な」

と、はぎしりしながら左近将監めがけてきりつけましたが、もはやこの深傷ではたまりません。つづいて無言のまま横にはらってきた鬼のような左近将監の刀を、グザッと脇腹へうけて、けなげにも刀をかまえたまま、どうとばかりに、そこへ突っぷしてしまいました。

「いわせておけば、舌長の一言……寄人のぶんざいをもって、小癪千万な……小癪千万な……」

と、花のような少年の死を眼下にみおろしながら、血刀ひっさげたまま茫然としてあえいでいた左近将監のすがたは、さながら悪鬼のごとき形相であったということが、いまもなおつたえられております。