Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
「おだまりめされ! 家来までが、相手が女とあなどって、無礼をいわるるか? 竜胆寺小金吾の母! 亡夫竜胆寺妥女が妻! わざわざこちらより左近将監づれが家へ足をはこんできたさえあるに、会えぬ、かえせ、の無礼なあいさつで、おめおめひきとらりょうか! あいてを見てものをいいなされ!」
これでは佐平治づれには、歯がたつものではありません。老母はでんと玄関さきへ腰をおろしております。
「竜胆寺さまのご隠居さま……はしじか失礼ではござりますが、粗茶などおめしあがりくださいませ」
と、みるにみかねて、八重がお茶をはこんでまいりました。老母はさしうつむいてふりむきもいたしません。
「ご隠居さま……どうぞ……粗茶などおめしあがりくださいまして……」
「ああああ……世が世ならば竜胆寺妥女の妻! 家老石藤左近将監風情の軒さきに、乞食のごとくにうずくまりもせぬものを!」
と、老母は、顔をふせたまま、はらはらと落涙いたしました。
「お女中……主人に似あわぬしんせつもの、そなたのしんせつはかたじけないが、左近将監がみずから茶をたててきたからとて、将監づれの軒さきで、犬猫のごとくに茶は飲めませぬのじゃ。