Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
もってかえられるがよい」
と、やさしく八重をたしなめました。そして、
「ああぜひもない、八郎太、かえりましょう。会ってくれぬものを、いくら待っていたからとて、しかたがない。さ、かえりましょう……」
またもや八郎太の背におわれて、ポロポロとくやし涙にむせびながら、やっと立ちさっていきました。
彼岸とんぼのとびしきる、通る人もない田舎道を、おう人もおぶわれた人も、だまりこくってかえっていきましたが、もうそのときには、左近将監を刺そうという気力も失せ、つかれはてた老いのからだは、愛するたったひとりの子にさき立たれて、もう世のなかになんの望みもなく、しみじみ死を考えていたのでしょう。
ふたたびかえるまいと思っていたわが家へもどってきても、あいかわらず床の上にもくもくとして、なんにもいわずに物思いにしずんでおりました。そして、ニャーオとなきながらそばへよってきた玉の頭をなでながら、
「おまえは利巧な猫ですからわかるでしょうが、こよいはわたしも小金吾のあとを追うが、主人がいなくなったからとて、けっしてわたしや小金吾をうらむではありませんよ。だれか情けあるご主人にそだてられて、寿命のあるまで、長く長くこの世に生きるのだよ!」