Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
とたんにさっと、また、手もとにおどりこんできた刃先のするどさ、ひっぱずして横にはらった将監のやいば、みごとにきわまったかと思いのほか、早くも曲者は樹上にとびあがり、枝の上に気合をはかっているようすです。その身のかるいこと、目にもとまりません。
「ひ、卑怯もの! 名をなのれ! 石藤左近将監なるぞ! 城代なるぞ!」
その声が耳にはいったのか、はいらぬのか、無言の曲者はビューッと風をきって、こんどはおがみ打ちにうしろから切りおろしてきました。やっとのことでうけとめましたが、将監の舌をまいたのは、なんともかともいいようなく、この曲者の身のこなしの軽いことです。
いまうしろにいたかと思えば、たちまち右へまわり、右へまわったかと思えば、つぎの瞬間には高い樹上におどりあがり、樹上にいるかと思えば、前から切りおろす、ヒラリヒラリと足音ひとつたてず、しかもおどろいたことには、このやみのなかに曲者は目が見えるとみえて、そのねらいの正確さ! よういならぬあいてです。
「ようし……左近将監と知って斬りかかるからには、容赦せんぞ! いざこい、あいてをせん」
と左近将監も決心しました。