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Japanische Klassiker mit Furigana

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いきふどう

橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇

橘 外男

Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme

Aozora Bunko

「だんなさまにみつかると、おまえもう命はないよ。反対の道へおにげ! お小姓街道を村のほうへおにげ! さ、ここにお給金もわたしがもってきてあげた。手をおだし!」

「お八重さま……おら……もう……ほんとうに、おまえさまのごしんせつには……」

と下働きは泣きぬれながら両手をあわせて八重をふしおがみました。

左近将監はこの下働きのご主人さまにはちがいありませんが、こんな下働きふぜいに城代の左近将監がちょくせつことばをかけることなどは絶対にありません。

藤はお金のだしいれ、その他将監の身のまわりのこまごまとした用をたし、八重はきものやお膳部の用をうけたまわっている奥女中でしたから、こんな台所のはしためにとっては、八重のほうこそ、どんなやさしいちょくせつのご主人さまとも思えたかもしれません。

やがて、きものをつつんだ大風呂敷きをしょったこの下働きと八重のすがたは、うちつれだってもうとっぷりと夜の闇のたれこめた台所の入口のそとへあわただしく消えさってしまいました。が、ちょうどそのころに、遠く玄関口のほうからは、

「おかえりィ! だんなさまのおかえりィ!」

という叫びがきこえて、だいぶにぎやかに人の足音がちかづいてきたようです。