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Japanische Klassiker mit Furigana

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いきふどう

橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇

橘 外男

Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme

Aozora Bunko

東京のお客様が、あそこのお墓で日野様の坊っちゃんらしい方にお逢いになったそうだ、と話したところが、その百姓は笑いながら、

「莫迦なことを! 日野様の坊っちゃんはお前、一年も前にここの御病気でお亡りになってしまったじゃねえか」

と一笑に付して亭主の言うことを取り上げもしなかったという。

しかし亭主がその坊っちゃんというのは大変綺麗な坊っちゃんだったそうだ、十一、二の頭髪を長く延ばして二十五、六の女中や大層年を取ったお爺さんを連れておいでになったそうだ、と何の気なしに話し出したところが、相手はたちまち何とも言えぬ暗い表情をして、

「於兎吉どん! お前の言うなあ! そりゃ日野様の坊っちゃんのことだあ!」と叫んで「昼日中から人を呼び止めて莫迦べえ吐しやがって!」

とまるで亭主が担ぐためにそんな下らぬことを言い出したかのように不機嫌な顔に変って、亭主も言訳をするのにまことに困ったというのであった。

フムフムと私は腕組みをして聞いていた。

「ですから旦那様! 決して悪いことは申上げません。もうあすこへだけはいらっしゃらぬが宜しゅうございます。もともと土地の者も滅多に行かぬようなあんな淋しいところでございますから、もしまたどんな間違いが起らぬとも限りませんし……いらっしゃらぬが宜しゅうございます。