Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
「旦那様違いますでしょうか?」
と写真を直視しているのにも堪えやらぬように、顔を背けながら突っ立っていた亭主が、震え声を出して私の口許を凝視ていた。
「まったく違った!」
と私はハッキリ言って退けた。昨夕逢ったばかりのあの賢しげな口許、眼、眉を凝視ていると違うどころか! それは私の気持をますます底なしの恐怖に陥れてくる。しかし私はもう一度「違う!」と口にした。「こんな、綺麗な子供じゃない!」
「でも旦那様はたいへん綺麗な坊っちゃんだとおっしゃってでしたが」
といくらか不満そうにしかし安心した調子で亭主が言った。
「綺麗は綺麗でも、これほど綺麗な子供じゃない! 第一、もっと眼の怖い、顔の円い子供だった。茂十さん、やっぱり私の見たのは日野さんのお墓じゃなかったように思いますが」
「やっぱり違っていましたかね!」
と茂十さんもどこか安心したように言った。それと同時にこんな下らぬことでわざわざ遠くまで引っ張り出された不服が込み上げてきたのであろう。幾分嘲るような調子で、
「道理でわしも変なことだとは思っていたんだ。今の世の中にそんな幽霊なんていう莫迦らしいことがあるもんでねえとは思っていたんだが、どうもあんまり騒ぎの方が偉れえもので……」