Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
無数に飾ってあるその中央あたりに、大きな四つ切り大で凜々しい金釦の洋服を着て、無帽の凜と張った瞳、女のように美しい気高い容貌は、二度と私には忘れることのできぬ印象そのままであった。
再び私は総毛立ったがしかしわざと私は口を噤んで茂十さんが言葉を切るまで待っていた。
「このお方ですが違いますか?」
と気味悪げに茂十さんが硝子の上から指したのは、果してその私の総毛立っている写真であった。
しかし私はわざとすぐには返事もせずに、小首を傾げていた。もうさっきからひそかに心を決めて、私はもはやこれ以上の騒ぎは惹き起すまいと考えていたのであった。今ここで私がその通り私が見たのはこの少年であったと言い切ったならば、いよいよ私が亡霊に逢ったということは判然と確定して騒ぎはいっそう大きくなるであろうし、あの不幸な日野涼子の墓は死後までもいっそう人の晒し物になる。そしてここにこうして半分震えている亭主やお内儀さんは、いっそう震え上るであろうし、こういうことはすぐに噂を呼びやすいものであったから、私は怖いならば怖い、恐ろしいならば恐ろしいで、自分だけでこの秘密を胸に畳み込んでしまって、もうこの上由ない恐怖に人を陥れることは止めにしようと決心したのであった。