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Japanische Klassiker mit Furigana

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いきふどう

橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇

橘 外男

Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme

Aozora Bunko

方々から啜り泣きの声が一層烈しく湧き起った。

「あねえになっても、やっぱり妹さんの事が気に懸かると見える。なむあみだぶ! なむあみだぶ! お内儀さん、案じることはねえだぞい! お前さんの一念だけでも妹さんはきっと助かるぞい! なむあみだぶ! なむあみだぶ!」

と口の中で唱名を称えているお婆さんもあった。

私はその夜着いたばっかりで、妙な抑揚のある土地の言葉に馴染みがなく、人々の叫ぶ言葉の意味がよくわからなかったが、おそらく医者や病院の名を口々に呼んでいたのであろうと思われる。振り翳される提灯の灯がますます殖えて、巡査や医者も駈けつけて来たらしく、人出と喧騒は刻一刻とその度を増してきた。懐手をしていた私の手に、突然袖口から金氷のように冷たい物が触ってきた。場合が場合だけに思わず竦然として振り向いたが、そこには君太郎が大きな眸に涙を一杯溜めて、訴えるように私を振り仰いでいたのであった。

「見てたのかい?」

と聞いたら、

「ええ」

と睫毛をしばたたいたが、

「助かるでしょうか? どうかして助けて上げたいわ」

と潤んだ声で呟いた。

無言で頷きながらふところの中で君太郎の華奢な手を握りしめていたが、私もこの時ほど君太郎をいとおしく感じたことはなかった。