Japanische Klassiker mit Furigana
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みちくさ
道草
Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme
その晩彼は明らかに多少風邪気味であるという事に気が付いた。用心して早く寐ようと思ったが、ついしかけた仕事に妨げられて、十二時過まで起きていた。彼の床に入る時には家内のものはもう皆な寐ていた。熱い葛湯でも飲んで、発汗したい希望をもっていた健三は、やむをえずそのまま冷たい夜具の裏に潜り込んだ。彼は例にない寒さを感じて、寐付が大変悪かった。しかし頭脳の疲労はほどなく彼を深い眠の境に誘った。
翌日眼を覚した時は存外安静であった。彼は床の中で、風邪はもう癒ったものと考えた。しかしいよいよ起きて顔を洗う段になると、何時もの冷水摩擦が退儀な位身体が倦怠くなってきた。勇気を鼓して食卓に着いて見たが、朝食は少しも旨くなかった。いつもは規定として三膳食べるところを、その日は一膳で済ました後、梅干を熱い茶の中に入れてふうふう吹いて呑んだ。しかしその意味は彼自身にも解らなかった。この時も細君は健三の傍に坐って給仕をしていたが、別に何にもいわなかった。彼にはその態度がわざと冷淡に構えている技巧の如く見えて多少腹が立った。彼はことさらな咳を二度も三度もして見せた。それでも細君は依然として取り合わなかった。