Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 猿回し
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.671 Zeichen · 252 Bildschirme
「腰を抜かした」
「良い新造が、いきなり腰を抜かしたのをあっしも生れて初めて見ましたよ。――あれえ――とか何とか言って、ヘタヘタと泥の中に横っ座りになった図なんてものは滅法色気があって――」
「止さないか、馬鹿々々しい」
「兎も角お神さんのお余野を医者へやってあっしは其辺中に眼を配りましたがね。何を見付けたと思います、親分」
「知るものか」
「路地の中にソロソロして居る男――そいつは、御用ッ、と襟髪を掴むと、ヘタヘタと腰を抜かして、泥の中へ座り込むじゃありませんか。――大の男の腰を抜かすのを、あっしは生れて初めて見ましたが」
「一と晩に初ものを二つ見たのか。長生きするぜ、お前は」「誰だと思います、それは」
「一々俺に訊くことがあるものか」
「あんな弱い男を、あっしは生れて初めて見ましたが」「初ものが三つ目だ」
「これが歴とした二本差、丹波彌八郎と言う侍なんだから驚くでしょう」
「驚くものか、腰抜け彌八とお前は言ったろう。綽名の通り、本当に抜かしたまでのことだ。ところでお前はそれを縛ったのか」
「相手は二本差だ。現場に通りかかったと言えばそれまでのことで、確とした証拠が無いから、口惜しいが縛るわけに行きません」