Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 猿回し

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.671 Zeichen · 252 Bildschirme

Aozora Bunko

頭を胡果の殻のように叩き潰されたお萩の死体は、物馴れた八五郎の眼にも凄惨で、二度と調べて見る気も起させません。

枕元の手習机の上には、くさぐさの物は飾ってありますが、それも形式だけの義理一遍で、浅ましく、貧しく、そして不気味に見えるのも一種の淋しさです。

お萩の荷物というのは、ほんの行李一つに、塗の禿げた手箱が一つだけ。それを開けて見ると、思いの外始末の良い女だったらしく、目立った汚れ物もありませんが、その代り冬の着換一、二枚ずつの外には、贅沢な感じのする物は一つもありません。

それに、もっと不思議なことは、男との交渉を思わせるものが一つも無かったことです。腰抜け彌八が三百六十何本も書いた色文のうち、少くともその半分位はお萩のところへ来て居る筈なのに、それが一本も無いということは八五郎にも不思議でたまらないことでした。

「腰抜け彌八の手紙が一本も無いじゃないか」

八五郎は内儀のお余野を振り返りました。

「皆んな焼いたんでしょう。汚らわしいとか何んとか、人並なことを言っていましたから」

お余野はことも無げです。

「お萩と仲が悪かったのは、お房だというが――」