Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 猿回し
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.671 Zeichen · 252 Bildschirme
「見て下さい、可哀相じゃありませんか」
八五郎は煙草入から半紙を小さく畳んだものを出して、煙草の粉を叩いて、平次の前に皺を伸ばして見せるのです。
「何んだえ、それは?」
「寮の庭へ入ると、頭の上から、これが落ちて来たんです」
「どれ、どれ?」
平次は差覗きました。たどたどしくも拙い仮名文字で、
新吉さんを助けて下さい。人を殺したのは、あの方ではありません。
とだけ、紙の上に斑々として汚点のあるのは、書いた者の涙の跡でしょう。
「こいつを書いたのは?」
「お滝ですよ――昨夜輿入した若い妾の――」
「昨夜の輿入はどうなったんだ」
「主人の弟の岩三郎が殺されて、祝言騒ぎはマル潰れでしたが、お滝は籠の鳥で、外へなんか出られやしませんよ」
「それから、もう一つ、火事はどうなったんだ。昨夜火事騒ぎがあったじゃないか」
「火事なんかありゃしません、裏に積んであった藁へ火をつけた奴があったんです。皆んな飛出した時は、もう真っ黒に消えて居たそうで――」
「成程、よくよく企らんだ奴があったのだ。此処でお前と相談しても仕様がない、小梅まで行って見ようか」
向島までは遠くとも、そぞろ歩きにも悪くない時候でした。