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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 猿回し

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.671 Zeichen · 252 Bildschirme

Aozora Bunko

梯子段も縁側も、庭石までも、撒き散らされた鮮血を洗い清め、苔も錆も一ぺんに落したためでしょう。

「弟の死骸は此方ですが」

その直ぐ傍の八畳に、岩三郎の死骸は、兎も角納められて居ました。床の上に寝かして、簡単な供え物をしただけ、膝行り寄って、それを一と眼見た平次が、ハッと息を呑んだほど、それはよく兄の岩太郎に似て居りました。

年は岩太郎よりぐっと若く、精々三十そこそこですが、柄が小さくて精力的で、ちょいと良い男で、これが同じような紋付姿で、灯の無い梯子を飛降りて来たとしたら、随分兄の岩太郎と間違えないものでもありません。

傷は下から突き上げた左の胸の一ヶ所だけ、恐らく弾みの付いた身体へ、存分に刺したために、心の臓を破ったのでしょう。

「刃物は?」

「曲者は捨てて行きました。胸に突っ立てたまま、これですが」

岩太郎は死骸の側に置いた、晒木綿で巻いた脇差を示しました。

「見覚えはあるでしょうな」

「奇月宗匠の持物です。馴れない脇差は腰が重くて叶わないと言って、酔が回ると手洗に下へ降りた時、下女のお角に頼んで、梯子の下の三畳に置いた、自分の風呂敷の上へ載せたそうで、現に、鞘はそのまま、風呂敷包の上に置いてありました」