Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 猿回し

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.671 Zeichen · 252 Bildschirme

Aozora Bunko

才六はひどくあわてて居ります。

「ところで、昨夜火事騒ぎのあった時、梯子段をどんな順序で降りたか、それを聴き度いが」

「一番先は私で、次は田屋さん、それから岩三郎さんで、その次は奇月宗匠かしら、あとはよくわかりませんが、お二人の女の方は一番後だったようで」

「火事だッと怒鳴ったのは誰だえ」

「下女のお角でございますよ」

そんな事が精一杯、あとは何を訊いても一向に埒があきません。

奇月宗匠は、厄介そのものでした。人間も人生観も、言うこともことごとく角がとれて、一向につかまえどころが無く、扇をパチパチさせながら、禿げ上った坊主頭ばかり叩いて居ります。黄八丈の袷に、黒縮緬の十徳、医者とも宗匠とも、幇間ともつかぬ風格で、

「――いえもう、私は仲人と申しても、本人のお滝さんが此奉公口に大の執心で、同じ御奉公するなら、出雲屋さんのような、物のよくわかった、しっかりした方のお側の御用をし度いと申しましてな。母親も、それはもう大乗気で」

歯が浮きそうなことを、よくこうしゃべりまくる奇月宗匠です。

昨夜は岩三郎の次に梯子を降りたに間違いなく、突いた傷は背中でなくて――拙は人殺しの疑いだけは受けずに済むわけでへッへッ――などと、ヌケヌケしたことを言います。