Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 猿回し
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.671 Zeichen · 252 Bildschirme
「そんなわけで、此騒ぎの中で、新吉とお滝の姿の見えないのが、又も疑いの種でしたが、幸い土手の呑み屋で一杯やりながら、それとなく小梅の寮の様子を見て居た私が、死神に取っつかれたように、向島の土手をフラリフラリと歩いて居る新吉とお滝の二人を見付けて、寮へ引返して来ました。危ないところでしたよ。心中でもしようという人間は、こう魂が抜けてしまって、フラフラになるんですね。傍から見ると、二人共丁度雲を踏むようでしたよ」
「それからどうしたんだ」
平次は心せく様子で先を促しました。
「寮へ戻って来ると、あの騒ぎでしょう。心中をやり損ねたお陰で、新吉とお滝は、奇月殺しの疑いを免れましたが――」
「奇月殺し? ――奇月は人に殺されたのか」
「二階の縁側から庭へ落ちた位のことじゃ、あの蛸入道は死にゃしませんよ――二階の縁側から落ちたのだって、手摺は高いし足場は良いし、――人に突落されたにきまって居ますよ」
「すると?」
「下へ落ちて庭石へ頭を打ったかも知れないと言いますが、奇月が落ちたところから、庭石は遠いし、石の上には血も付いちゃ居ません。土が柔らかいから、蛸入道の頭の跡まで庭に残って居るから、間違いはありません。