Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 猿回し
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.671 Zeichen · 252 Bildschirme
「馬鹿奴」
血振いを一つ、柄をポンと叩いて、手水鉢の水でザブリと洗うと、鞘に納めて改めて左右前後を見渡します。
「見らるる通りだ。秋山彌十を討ち果した富山七之助、逃げも隠れもせぬが、此処に踏留っては、御主人が掛り合いで迷惑されよう――このまま退散いたす。異存はあるまいな」
屹と言い放つと、自分の部屋へ入って、何やら手回りのものを一と纏め、四面を睥睨しながら、富山七之助は出て行くのです。
主人村越峰右衛門は、掛り合いを面倒と見たか、姿を隠して取合わず、倅の久太郎と、掛り人の喜八郎、下男の勇太郎は、遠くの方から眼を光らせて居りますが、殺気立った富山七之助の袂を控えて文句をつける気力もなく、みすみす、この殺人者を遁してやる外はありません。
「――では、御主人村越峰右衛門殿へ、よろしく伝えて貰い度い」
富山七之助は、凱旋将軍のように、傲然として引揚げるのです。
やや、春の色の濃くなった庭、咲き乱るる桃の下枝を潜って、玄関へ出ると、誰憚る者もなく、肩肘張って門へとかかります。
「ちょいと待って下さいな、富山さん」
甲高い少年の声が、それを留めました。
「何?」
振り返ると、小僧の宗之助、たった十三になったばかりの、色の浅黒い小汚いのが、枝折戸のところに顔を出して、円い顎をしゃくり加減に、富山七之助を呼び留めて居るではあり