Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.725 Zeichen · 298 Bildschirme
平次の調子は噛んで含めるようです。
「いかにも、親分さんにお任せしましょう。その代り一日も早く、私をこんな目に逢わせた悪者の面を見せて下さい。私はそれで我慢しましょう。処刑はお上に任せて――」
満面の傷が歪んで、千之助の苦笑は、悲しくも凄まじいものでした。
事件の面白さに引入れられたものか、銭形平次はしばらく、考え込んでおりましたが、いつもの神速主義で、その場ですぐ重要な手掛りを集めにかかりました。
「江の島へ一緒に行ったのは、お前さんと、長次郎と吉五郎と要助の四人だけだね」
これが第一の問です。
「その通りでございます。片瀬へ着いたのは大嵐の真っ最中、忘れもしない二百十日の厄日の翌る日、陸から見ると江の島が泡の中へ湧き上がるような恐ろしい景色でした。大急ぎで桟橋を渡って宿房へ飛込むと、桟橋は落ちたという騒ぎ、一二日は島に籠らなきゃなるまいと言われて、安心したような、がっかりしたような変な心持だったことを覚えております」
千之助の答は詳しくて鮮明でした。
「稲葉屋さんは、その旅へは入らなかったのでしょうね」
「いえ、一緒に参りました。が、鎌倉で手間取って皆さんから一と足遅れ、片瀬へ着く途端に桟橋が流れて渡れないと聞かされました。