Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(三)酒屋火事

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 146.725 Zeichen · 298 Bildschirme

Aozora Bunko

仕方がないから江の島を眼の前に見ながら、顔馴染の片瀬の小磯屋――女将がお世辞もので、なかなか乙な旅籠屋でございますが――そこで、二た晩暮し桟橋の下を通れるようになってから、いの一番に島へ渡って、千之助さんが、崖から落ちて行方不明になったという大変な話を聴き、番頭の要助さんと一着に、早駕籠ですぐ江戸へ取って返したようなわけでございます」

稲葉屋は静かに語り終って、癖になっているらしく、隠すともなく左の頬の痣へ掌を当てるのです。

「怪しいのは江の島に泊った三人――それぞれお前さんが死ねば儲かりそうだが、外にそんなのはないだろうか」

「まだ少しはございましょうが、身代や許嫁に釣合う口は思い当りません」

「それでは、あべこべに、お前さんが生きていると儲かるのは誰だろう?」

平次は変なことを訊きました。

「どうせ憎まれ者で、私が助かって儲かる者などはありません。もっとも、稲葉屋さんは別ですが――」

「稲葉屋さんはお前さんに貸でもあったので?」

と平次。

「とんでもない」

稲葉屋佐七はすっかり恐縮しました。徳力は大身上、小店の稲葉屋などとは同じ金物屋でも大変な違いだったのです。