Classiques japonais avec furigana
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lisez 大岡越前 (おおおかえちぜん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 218 436 caractères · 437 écrans
「わしは、田を持ってるさ。人間なら誰でも持っている慈悲の田だよ、善心の田だよ。わしは、日本中にまたがる大地主じゃから、あちこち、諸国のその田から、一穂ふた穂と、いただき集めてくるんだよ。――今にな、みんなも、自分自分の田から穂を咲かせて、何年後でもよいが、わしにお分け穂を与えてくれよ。いいかい」
ゆうべのような大団欒が始まった。
あくる日は、芝の神明。次の日は、本所のどこと、毎日つづいた。市十郎は、同苦のそばを離れなかった。――いや、離れたらすぐ絶壁から谷底へ、ふたたび、一気に落ちてゆきそうな気がして、大釜と荷車に、しがみついている姿だった。
七草までという――その終りの正月七日だった。
その日の場所は、下谷の広徳寺前で、ここは歓楽街の吉原裏に近いのに、なぜか窮民の混雑は、ほかよりひどい。
その尽きない飢えの行列も、やっと残り少なになった頃である。――杖に身をささえ、跛足をひいた一人の若僧が、網代笠に面をつつみ、施粥の列に交じっていたが、やがて自分の順番になると、鉄鉢を出して、僧侶らしく、ていねいに頭を下げた。
市十郎は、大釜の粥を、柄杓で汲んでやっていたが、