Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lisez 大岡越前 (おおおかえちぜん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 218 436 caractères · 437 écrans
采女と呼んで
「おそれ入ります。……が、もう少々、長い目で御覧じくださいませ」
藪田助八は、頭を掻いたり、平伏したりした。けれど、真底から恐懼しているふうでもない。かれは、吉宗もまた新之助とよばれていた部屋住み時代には、一個の町の不良児だったことを、たれよりもよく知っていた。
采女と呼んで
十日ほど後。――藪田助八はまた彼の仮住居へもどっていた。
近頃、かれが折々すがたを見せる仮住居というのは、例の牛込柳町の市川楽翁の隣家である。家主も隣の楽翁なら、留守中の戸締りも、食事の世話も、一切、隣賄いというわけで、彼にとれば、こんな気楽な借家はあるまい。
その代り、彼の咳ばらいか声でもすると、案内なしの庭づたいに、すぐ楽翁がやって来る。病家の迎えか、患者でも来ない間は、この医者は、隣家に入り浸りで、碁を打ち、世事を語り、時にはひそひそと何事か膝づめで密談していた。
「楽翁どの。南の与力たちは、あれきりかの」
と、今日も二人は、二階の一室で話しこんでいた。
「されば。あれきり、やッて来おりません。お燕は井戸へ身を投げたし――その墓石はこの通り――といい張ったので、あの深い井戸の址を、掘り返して見ることもならず、余儀なく、手を引っこめたものとみえます」