Classiques japonais avec furigana
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lisez 大岡越前 (おおおかえちぜん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 218 436 caractères · 437 écrans
紅絵から抜け出た男
「北町奉行所」の提灯を振り、検死役人と騎馬与力が二名、それに同心たちの一団が、さッと、通り抜けた。
大門は、ふたたび閉まった。
雲の切れ間に、傾いたおぼろ月が、ちょっと顔を見せた。――だが、春の夜明けにはなお間がある。町から町は、墨のような濃い夜気を曳き、いまの馬蹄におどろいたか、しきりに犬が吠えていた。
「――やっ、誰だっ」
「こらっ。木戸の通行はならんぞ」
二人は突然、六尺棒で大地を叩いた。そして半ば、恐怖にみちた眸を、じっと番小屋の横へ向けあった。
自身番小屋の間口の半分は、庄七の女房が内職にしている駄菓子屋の店になっていて、雨戸が二枚ほど閉まっている。――いま、二人が見たのは、そこの暗がりから柳の樹蔭へ歩み寄って、そのままジッと佇んでいる人影だった。
紅絵から抜け出た男
「おいっ、何でそこに立っておるかっ。木戸止めだ。夜明けまでここは通れん。戻れ戻れ」
庄七が、こう二度目に呶鳴ったときである。
――人影は、柳を離れ、番屋の油障子のそばまで、おずおず近づいて来た。
白い面を俯向き加減に、むらさきの野郎頭巾、細身の蒔絵鞘の大小をさし、小姓袴をはき、しょんぼりと、影絵のような姿をそこに見せた十七、八の小づくりな若衆は、