Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

おおおかえちぜん

大岡越前

吉川 英治

Lisez 大岡越前 (おおおかえちぜん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 218 436 caractères · 437 écrans

Aozora Bunko

見たような賊

「これからすぐ駕籠に乗って、遠くもねえお袖のいる所へ行くんだ。おめえの背中で寒風にふかれているより、あの色のいいお母あちゃんの乳ぶさに抱かった方が、この子だって、どんなにいいかしれやしめえ。あはははは。……といったら、お燕坊よりは先に、おめえの方が、その乳が恋しいところだろうな」

市十郎は、ほんとのことをいわれた気がした。やがて、かれと連れ立って、茶めし屋の葭簀の外へ出た頃には、ふしぎに、良心のありかもわすれ、かえって、お袖に会えることのみが心を占めて、久しぶり心にかすかな明るみさえ覚えていた。

「その間の、お小費」

と、阿能十は、銀子を二粒三粒、かれの手に渡し、すぐ橋袂の町駕籠を自分でよんで――

「おい。番町まで」と、お燕を抱いて、一しょに乗ってしまった。

「番町まで? ……。はて、番町までといったようだが」

市十郎は、いつまでも、遠ざかる町駕籠の影を見送っていた。そして、こよい子に抱きすがられるであろう白い乳ぶさを思いえがいた。――まだ陽はたかい真昼の闇に。

見たような賊

「主殿、やめよう。わしも気がのらぬし、そちも、なにやら冴えぬ容子――」

兵九郎は、ざらと碁石を掻きおさめて、盤を横へ押しやった。