Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lisez 大岡越前 (おおおかえちぜん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 218 436 caractères · 437 écrans
「医師の楽翁は、どういうておるのか」
「きょうは、晩くなっても、お見舞すると仰っしゃっておいででしたが、まだお見えになりませぬ」
「あれ、呼びぬいておるわ。行って見てやれ」
かの女は、いそいそと病児の部屋へ。越前守は、いつものように、書斎にはいった。
読書は、かれの夜の日課であり、趣味であったが、その夜は、園子の泣き声が、耳について、何としても、心がみだれがちだった。
「……あらそえぬもの」――と、彼は、自ら責められた。
父の罪は、まだ、消えていない。お燕の幼いときの泣き声と――奥の園子の泣き声と、余りにも、よく似ている。
いや、それは決して、ちがったものであるはずはない。
「……母こそ、ちがうが」
罪の父は、苛責にたえかね、ついに書物もとじふせて、しんしんと傷む心を、両腕に拱んでいた。
奉行所にあるときは、日々、白洲へ曳かれてくる無数の人間を裁く法官の彼であったが、静夜、独坐のうちにある彼は、自分で自分を裁かずにいられなかった。
――ふすま際へ、小侍が来て、そっと、たずねた。
「お医師の楽翁どのが、お戻りがけに、ちょっとお目にかかって帰りたいと仰っしゃいますが?」