Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lisez 大岡越前 (おおおかえちぜん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 218 436 caractères · 437 écrans
町医の楽翁
「もう、もう、遁しはせん。御用じゃ。御用じゃぞ、お燕」
と、必死の息をはずませた。けれど、妙なことには、その声も、捕手らしくない低声だし、組みついている体力にも、どこか脆いところがあった。
それに反して、いざとなると、お燕はただの処女ではない。生れながら悪と野性の中に育てられた敏捷と不敵をもっている。
「ちいッ、おまえたちに捕まって、たまるものか」
凄艶な死力の手は、脆いあいての捕方を、振りほどいた。また組みつくのを、突きとばした。けれど、仆れ、仆れ、何度仆されても、黒い人間は、かの女の裾か、袂か、帯か、どこかをつかんでいて、離さなかった。
町医の楽翁
「あッ。おっ母さん――っ」
やはり処女は処女。かの女はついに、叫んでしまった。何かに、つまずいて仆れた途端に。
だが、その声は、思わず敵をよんでしまった。ざざざッと、すぐ馳けよって来た者を見ると、これは明らかな奉行所与力だ。手に「南」の提灯をかざしている。
「やっ。あなたは?」
「おッ。おまえか。早く、手伝え」
お燕を、上から抑えつけて、持て余していた黒ふく面の老人は、喘ぎ喘ぎ急きたてた。
市川義平太は、すぐお燕を搦めてしまった。