Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lisez 大岡越前 (おおおかえちぜん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 218 436 caractères · 437 écrans
「ばかをいえ」
阿能十は、ここぞと強がった。
あばた顔の大亀が、この仲間では、年かさで、体つきも頑丈だが、小柄ながら阿能十には、武家息子らしい風骨と敏捷さがある。
「今夜のことは、おれの発議だ。まちがっても、大亀にもてめえにも、ヘマを喰わせてすむものか。おれがいる。さあ行こうぜ」
阿能十は、頬被りを解いて、ぽんと払って、顔に被り直しながら、長い刀に反りを打たせて立ち上がった。
色街でもない真ッくら闇を、いつもの癖で、阿能がイヤに気取って歩くのをうしろから見て笑いながら、あばたの大亀も、のそのそと味噌久を中に挟んで歩き出した。
だん畠の傾斜地を下り、谷をわたって、向うがわの丘へ上がる。そして雑木林の細道を半里ほども行くと、いんいんとして犬の遠吠えが聞えてきた。一頭や二頭ではない。何百、何千ともしれない群犬の声である。それが谺して、一瞬この世の声ともおもえぬ凄味に夜をつつんだ。
「お、あれだ、お犬小屋は」
「ちがった人間の臭いがしてくると思ってか。もう吠えたてていやがる。気をつけろよ」
遠吠えは、まもなくやみ、三人はまた道をさぐった。
林を出端れると、高い板囲いにつき当った。