Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lisez 大岡越前 (おおおかえちぜん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 218 436 caractères · 437 écrans
彼は、それを見たとき、憤りの血に駆られずにいられなかった。法の下なる無力な億生のために、阿修羅にもなれと思った。きょうの彼は、阿修羅越前になって、吉宗にぶつかって来たのである。
「ああ、何やら、大きな明りを、見出したように思うぞ。――奉行、吉宗に、たとえ一ときでも、縄を打て、正に、将軍家なるものは、罪の元兇だ。縛れ、そして、天に代って十手でわしの体を打て」
吉宗は、卒然と、叫んだ。
「あ。ありがとう存じまする。おわかり下さいましたでしょうか」
「解らいでか」
と、吉宗は、眼じりに、彼らしい感情の昂ぶりを見せ、なお、打て打て、といってやまなかった。
「当御代には、まだ、さきに挙げたような罪科はございませぬ。強いて、刑を明らかにと申せば、恐れながら、それは御霊廟の地下に及ばねば相成らぬことになります。どうか、お心を安んじてください。奉行越前守が、お糺し申すことは、終りましてございまする」
「いや、吉宗は、安んじきれぬぞ。――越前、十手と縄を、あれへ置け」
彼の身は、縁をとび降りて、真下の、広芝へ馳け下りていた。
何思ったか、芝生のうえに、ぴたと坐った。
越前守は、命にまかせて、彼の前に、十手捕縄をおいた。