Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

まつのやろはち

松のや露八

吉川 英治

Lisez 松のや露八 (まつのやろはち) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 125 597 caractères · 253 écrans

Aozora Bunko

かんぬき差し

一

「直心影流の達人です。けれど、そんなものをいちいち恐れていては、吾々は、何もできぬ。またこの京都にも一日だっていられはしません」

どう彼が動かそうとしてみても、弟は、顔いろすら変えるのではなかった。

かんぬき差し

一

数日の後。

河原町の薬師堂に下宿している渋沢栄一を、露八は、訪ねて行った。

「土肥君か」

あまり浮かない顔だった。

露八は、訪ねて来たことをすぐ後悔しながらも、弟のためにはと、頭を下げた。

「じつは、お頼みがあって、来たのですが」

「まあ、向うの部屋へ行こう」

話の先を折って、渋沢は立った。なるほど、その一室には、彼のほかに三人も一ツ橋家の小役人らしいのが机を並べていて、書類に埋もれながら忙しげに書き物をしているのだった。

「ここなら、暖かいし……」

と渋沢は、薬師如来の内陣が見える本堂の隅柱に倚りかかった。春さきの陽が、露八の背と渋沢の横顔へ、波紋のように明るく射した。

「その後、君は、何をやっているのかね?」

「流しをやっています」

「三味線弾き?」

「へい」

「ふふむ……。町人になりきったね」

「なりきれないんで、困っていますよ」

畳の陽だまりに、冬を生きて越した蠅が一匹、顔をこすっている。