Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

まつのやろはち

松のや露八

吉川 英治

Lisez 松のや露八 (まつのやろはち) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 125 597 caractères · 253 écrans

Aozora Bunko

二

夜明け前の暗い窓から、吹き込んでいるのである。

二

雪は、一日降っていた。

依然として、先が吟味を聞いてくれない代りに、露八は、終日かかって、一つの工作へ努力をかけて暮らした。

倉の隅にある荷梱の一つを、窓の下へ、足で寄せて行くことだった。重量があるので、脚が疲れると、肩で押し、また背中で二、三寸ずつ摺らして行った。

夕方、彼はやっと、それに脚をかけて、鉄格子の窓から、外を覗くことができた。しかし、広場も兵舎の屋根も、波止場の境にある柵も、門も、いちめんに白くて、しいんと、早い夜半のように、ひっそりしているだけだった。兵一人、どこにも見当たらない。ただ、小倉や門司を隔てて、一衣帯水の海門の潮流が、鯖の背のように、蒼黒く、暮れかけているだけだった。

稲荷町や、桜山には、白いなかにチラチラと、もう宵の燈が灯きはじめている。お蔦は、どこの座敷にいるか、怒りっ放しで、俺がこんな目に遭っているのも知るまい。知ったら、泣いて、この屯所へ駈けこんで来るだろうに……。

宵といえば、二人で、仲よくせせり合った河豚鍋の味も思い出される。

「あ、あ……」

露八は、一日の根気をいちどに疲らして、荷梱の下へ、べたっと、坐ってしまった。