Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
まつのやろはち
松のや露八
吉川 英治
Lisez 松のや露八 (まつのやろはち) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 125 597 caractères · 253 écrans
馬関の埠頭で、長州藩の蒸汽船の汽笛が、ぼうっと、冬空に寒く聞こえる。ふだんは、牛が絞め殺されるようだの、昼寝を起こされるのと、耳うるさく嫌っていた音響が、なつかしくて、帆ばしらでも、見えないかと思った。
外は、広場だろう。
聞き馴れない、洋式の号令、小銃の射撃、馬蹄がぽかぽかと、土を蹴るのも、終日聞こえてくる。
「奇兵隊め! 何だって俺を……。やい、俺を、何だって」
露八の眠らない頭は、ようやく、躁狂になって、倉の中を、吠えながら、廻って歩いた。
「――夫婦喧嘩はしたが、俺は、悪事をしたこたあねえぞ。ゆうべも、お吉ッつぁんの家で泊まっていたのだ。どかどかと寝込みを襲やがって、有無も云わせず、この中だ。調べるものなら、調べてくれっ。……俺が、どんな人間か、お蔦に訊けば、わかるはずだ。女房にも、訊くがいい!」
自分の声が、せめてもの慰めだった。
立ち疲れ、喚きつかれて、ぐったりと、軍需品らしい荷梱のあいだにぶっ倒れて眠ってしまった。
眼がさめると、倉の中に、白いものがチラチラと舞っている。体は、鉄板のように冷えているのだ。
見ると、足の先に、雪がたまっていた。