Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
まつのやろはち
松のや露八
吉川 英治
Lisez 松のや露八 (まつのやろはち) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 125 597 caractères · 253 écrans
朱夜黒昼
一
丹波女は、大きな手で、自分の膝の上から、露八の首を抛りだした。
「あんたさ、兵隊の服着ているだが、あんな、金づかいすッとこみると、兵隊じゃ、あんめえ」
「じゃあ、何だい」
「泥棒とはちがうのけ?」
「馬鹿っ、丹波栗の、おたんちん。――あっちへ行けっ」
朱夜黒昼
一
大晦日も、元日も、そこで越して奈良漬のように露八は漬っていた。
すると、正月三日の夕方ぢかくである。ぐわらぐわらと、家中で、家財を往来へ出し初めた。露八の寝ていた蒲団まで男たちが来て、彼の体を、ゴミでもはたくように払ってあわただしく、二階から外へ投げ出している。
遊廓中が、同じ騒ぎだった。
荷は、車につみ、背に負って、どこともなく、われがちに逃げ出してゆく。遊女たちは、手拭をかぶり、裾を折って、これも、手をつなぎ合って、雪崩れてゆくのだった。
「煙で、真っ黒だ」
屋根にも、誰かいる。
瓦が落ちる。どこかで、女の悲鳴やら、子どもの泣き声やら聞こえる。――露八は、がらんとした青楼の広間を見まわした。丹波の女も、部屋に見えないし、鏡台も、赤い蒲団も、なかった。
「始まったかな?」
予感は、大晦日ごろからあった。