Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

まつのやろはち

松のや露八

吉川 英治

Lisez 松のや露八 (まつのやろはち) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 125 597 caractères · 253 écrans

Aozora Bunko

「おやすいことですけれど……」

「たのむ!」

「じゃ、落し物を、見つけたら、貴方は、門の外で、待っていて下さいますか。帰っちゃ、いやですよ」

「帰るものか。たのむ!」

二度までも、拝むように云う。

お蔦は、気がるに、門の中へ駈けこんで行った。その後ろ姿を見届けて、庄次郎は、ほっとした。

だが、嘘言のてまえ、門の前に、ただ立っているのも、気が咎めた。しかたなしに、忍川のふちを、地面をみながら、往ったり来たりしていた。

犬の糞だの、瀬戸物の欠片だの、錆びた釘だの、かぞえていると、やがて、後ろで、お蔦の呼ぶ声がした。門の際に、その姿が見え、手招きしていた。

「オオ、返してくれたか」

「駄目」

お蔦は、困ったように、眉をひそめた。

「えっ、よこさない?」

「つむじ曲がりですからね」

「不都合じゃないか、人の物を、持ち去っておきながら」

「本人が来たら渡してやると云うんです。だから、お入りなさいよ。がさつな屋敷だから、誰に、遠慮もいらないし」

「遠慮などはせぬが」

「億劫がることもありませんよ」

「億劫でもないが」

庄次郎は、いかにも、弱った! というように考えこんでしまった。

苦手というのか、妙に、昨夜以来、怯気が先に立って、足が前へ出ないのだった。