Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

まつのやろはち

松のや露八

吉川 英治

Lisez 松のや露八 (まつのやろはち) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 125 597 caractères · 253 écrans

Aozora Bunko

間の悪そうな顔をして、梯子段を降りてきた庄次郎へ、手を拭いて、

「旦那、しがらき茶屋へ、お忘れ物をしたでしょう」

「いや、べつに」

「でも、これが、届いております」

渋沢栄一の財布だった。

連中が置いて行った物だろう。彼らの肚はすぐ覚れた。庄次郎は苦いものを噛んだように、

「そうか」

袂へ入れた。

追いつくように、お蔦も降りてきた。そして何か、鮨屋の内儀さんに囁いていたが、やがて、

「後生――家へは内緒」

立ちかけると、

「また、飽きないようにね」

内儀さんは、背中を打って、下駄をそろえた。

その日が、口切りで、二人の下駄はその後三日目、四日目ごとに、鮨屋の土間に脱がれていた。

「浮気性という女だ、もう逢うまい」

何度も、心では省みながら、お蔦の誘惑に勝てなかった。

新妻の照子は、うすうす、気づいているらしい。だが、貞淑のいかめしさを崩さない婦人だった。それがまた庄次郎には、面白くない。いつまで経っても婚礼の夜の間違いが、あの不満が消えないのが禍根だ。時には、不愍と思おうと努めても、より以上、自分の過失が不愍であったし、何となく、先でも打ち解けきれない様子が、日ましに、家庭を冷やかにして、