Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

Lisez 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 209 260 caractères · 418 écrans

Aozora Bunko

果たして。

介三郎たちが、湊川のながれに近づいて、崩れた堤の一端に駈けのぼったとき、河のまッただ中にあたって、ざんぶと、白いしぶきが見えた。

「あっ、身を投げたっ」

たれかがいった。

溺れ死ぬには十分な激流の深いところもある。介三郎も舌うちして、

「ええ、浅慮なことを。はやく下流へまわれ」

と、河原へとび降りた。

すると――

そこにはふたりの衣服が脱いであった。風に飛ばないように大小が乗せてある。ぬぎすてた草履も二そく、ぴたりと揃えてあるところは、取りみだれた者の始末ではない。

「……はてな?」

河面をすかして見た。

水のうえは明るかった。

介三郎はそこに意外なものを見出したのである。水面から顔だけ出しているふたつの影だった。溺れもせず躁ぎもしない。ただじっと、十二月末の寒流のなかに怺えている首と首だ。

眼のせいではないか。

岩の突角でも、そう見えるのではないか。

疑ったが、それを見たのは、彼だけではない。河原に立った者はのこらず怪しみの眼をこらして、同じところを見つめていた。

試みに、介三郎が、

「おううい。……牟礼どの、浮田どの、ご両所か、そこにおるのは」