Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

Lisez 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 209 260 caractères · 418 écrans

Aozora Bunko

二

老公はさいごに、ここの係りである御薬方の鈴木元和に問うた。

「元和、そちもやるか」

元和は、恐縮して、

「いたしません」

老公はまたお医師の宗典をかえりみて、

「そちは、どうか」

宗典も同様、あたまをかいて、

「つい、仕りません」

と、正直にいった。

「そうか、なるほど。……いやそうしたものであろう」

咎めもないが、お賞めもなく、老公はその折、三度も「なるほど」をつぶやきながら書斎へもどった。

――今日、午ごろ。

その薬研の音がしている窓のそとに立って、

「江橋さん、江橋さん。猪はどこに吊るしてありますか」

近所の百姓で、碁の上手な、彦兵衛という男がたずねていた。

二

そこの障子も明けないで、閉めてあるまま、窓のうちで、江橋林助が、

「猪? ……。ああ、郡代の鷲尾覚之丞どのから、献上なされたあれか」

「それでございましょう」

「それなら、お台所へまわって、庖丁人の平九郎にでも訊いたらよかろう」

「どなたもおりません」

「いないことはない」

「おりませぬ。お下婢にうかがってみたら、こん夜のお客衆にあげる惣菜を、畑へ採りに行っているとかで」

「うるさいな」

口叱言をつぶやきながら、林助は薬研部屋から外へ出てきた。