Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

Lisez 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 209 260 caractères · 418 écrans

Aozora Bunko

八

「昨夜は一睡もおやすみにならなかったようですが、お脈には何のおかわりもございませぬ」

むしろ不思議そうにいうと、きのうから初めての一笑をふと口のあたりに洩らして、

「わしはまだ六十七。ひと夜ぐらい眠らぬとて、脈がみだれるほどな年ではない。いま光圀の気脈がみだれてはなるまい。そう思うているせいであろうか」

と、いった。

八

「生来、ご長命の質でおいで遊ばしますから……」

と、宗典は医家らしく、かろく受けても、心のうちでは、老公の今朝の健康に、決して安心はしていなかった。

「――ま。ともあれ、これからお寝みなされますよう、おすすめ申し上げまする」

「ウむ。一睡しよう」

老公は、素直にうなずく。

宗典はそこを退るとすぐ、寝所にしとねの用意をするようにいいつけていた。

朝の陽は高くなる。

縁に、障子に、壁に、梅の木々は、のどかに影を投げていた。ひと間、静かに閉めきってある所が老公の寝室らしい。

やがて大きないびきが洩れていた。鶯がどこかで啼きぬく。

表面、この日も西山荘は、つねと変りはなかったが、一部の人々は、ひそかに旅立ちの支度をしていた。

馬には糧草を喰わせ、また、納戸部屋のすみで、ただひとり刀を検め、打粉を打っているさむらいもあった。