Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

Lisez 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 209 260 caractères · 418 écrans

Aozora Bunko

五

ふと見ると、若ざむらい達の黒いあたまの中に、老公の白いあたまが見えた。猪鍋をかこみあって、老公も箸を出しているのである。

「あ、そちらで」

「わしのお客は、見えたか」

「ただいま、お控えまで」

「雪乃と、惣左か」

「さようでございまする」

「まひとりは、誰か」

「ご息女の蕗どのを、お伴れなされましたので」

「ホ……あの娘か」

老公が、思いあたって、そう呟くよりもさきに、

「え、お蕗どのが」

満座の若ざむらいがみな動揺をおこしていた。急に酔が発してきたような顔も見当るし、わざと、さりげない話をとってつけたようにし出す者もあるし、露骨に、

「いよう、思いがけない美人がこのあたりへ匂って来たぞ。猪鍋に天女が天降って来るとは、むかし噺にもない」

と、手の杯を、額のうえに押しいただいて、

「帰妙頂来」

と、さけんで、ひとを笑わす男などもあった。

五

憂いの多い時代である。しかし憂えているばかりが憂国ではない。

こういう時、ほかの必要も大いにある。

――身命を大事にすること。

ごく手近に、この辺から憂国すべきであろう。自分自分の所有としている身命も実は国有物で、個々のいのちは国のいのちの一分子にすぎない。