Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

Lisez 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 209 260 caractères · 418 écrans

Aozora Bunko

空谷子

一

空谷子

一

奥まった方丈の一室を閉めきって、住職はその日はいとど細心に、誰が来ても留守と断らせ、ただひとりの客、人見又四郎と会っていた。

「恐らく今日が、こうしてお会いする最後でしょう」

と、又四郎はいった。

住職もまた、その語をあえていぶかりもしない。惜別の情はありあり面に示していたが、ぜひもなげに、

「ご一心をつらぬかれるよう蔭ながらお祈りしている」

と、いったのみである。

後に思い合せると、ここの住職は、又四郎の父卜幽の門下だった経歴があるし、又四郎の母方の実家ともかなり親しい関係があった。

父の門人として信頼のおける点からも、又四郎はその抱懐をこの老僧には打明けていたらしい。

もちろん、去年、この寺にしばらくいて、後に、藤井家へ小間使として入った小枝という女性は、寺の縁故でも何でもない。銀河の夜から見えなくなった魚松のむすめ、あのお次だったのである。

筆まめな女文字の便りは、この寺へも来、又四郎の手許へも、いろいろな方便をもって、たえず届いていた。

彼は藤井紋太夫と柳沢吉保との関係について、確証を得た。また、紋太夫が自藩の内部にたいして、何を策しているか、はっきり知ることができた。