Classiques japonais avec furigana
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ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
Lisez 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 209 260 caractères · 418 écrans
将監の召使たちも同様のこと。――よろしいか怠るな、監視を」
上役の一名が、何か、見つけ出した手紙の束や書類など、一抱えにしながら、あとに残る部下へいいつけながら門を出て来た。
「やあ、ご苦労」
あいさつを交わしながら、海野三右衛門がたずねた。
「どうしたのだ? ……だいぶ泣き声がするが」
「いや何。奥の一室まで来たら、覚ったとみえて、急に紋太夫の妻女が取乱し始めたし、子どもらがさわぎ出した。自殺をする惧れがあるから、縄目をかけると、なお泣き咽んで、ちともて余したが」
「そうか。するとやはりきょうのことは、虫も知らせていなかったとみえるな」
「知ろうはずはない。……けれど老母はさすがに、立派なものだな。――こういう日が来るのはむしろ遅すぎるくらいだとつぶやいていた」
「むむ。そういっていたか」
「もし、何の事もなく、きょうのご隠居さまのお能を拝見していたら、そのほうがかえって、心のうちは苦しかったろうに……。そういって、泣き狂う紋太夫の妻をなだめておった」
話しているうちに、もう邸の中の小役人たちは門の扉を閉め、小さい方の出入口も青竹で矢来を結っていた。
「これから、どこへ?」