Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
Lisez 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 209 260 caractères · 418 écrans
ここ生涯のわかれ目と、懸命なせいもあろうが、由来、機智縦横な彼ではあり、満身の智恵をしぼって、自己の正当を述べ、自己の罪条をいい晦すに努めると、正に、懸河の弁舌というもおろか、思わず聞き恍れるばかりだった。
「待て」
黙って、数箇条の言い開きを聞いていたが、光圀は、途中で制して、
「さらば、これは何か」
と、連判の一巻を、かれの前においた。
「繰り展べて見い」
促されたが、紋太夫は、さすがに面色を失ってしまった。
強いて、真っ直ぐに、張っていた胸も、いたずらに胴ぶるいを示すだけであった。
光圀は、ひややかに、
「一見にも及ぶまい。その方としては内容の、一行一行、諳んじているほどの物。――そちがやしきの炉の上に懸けつるしあった物。……紋太夫、そちの弁舌も、はや無用と、覚ったであろう」
「……いえ! いえっ」
襟すじからさっと面上いっぱい蒼白の気を漂わせながら、かれは強く首を横に振り出した。
その動作とともに、急に、眦がつりあがった。鼻腔で呼吸しはじめた。そしてうわ言のように、
「ぞんじませぬ! お、おそれながら、御意、またこのような品、いっこう何のことやら覚えも……」