Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

Lisez 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 209 260 caractères · 418 écrans

Aozora Bunko

八

八

恐らしい、執こい眼は、酒の力を借りて、なお老公へいいつづける。いや絡み出してくる。

「天下の副将軍……ふふん……あなた様の眼には、塵か芥みたいなものに過ぎますまい。名利……実にくだらんものと仰っしゃるだろう。だが、だがでござる。その任や重しだ。上は、畏きあたりから、下は、われわれ蒼生にいたるまでの、心あるものは、いかに、どれほど、幕閣にひとりの、幕臣ならぬ、純正な日本の臣たる黄門光圀公という……」

眼だけでは足らなくなって、景助はここで老公の鼻を指さして、

「すなわち、あなた様という者がおる――ということに至嘱していたか、あなた様は、お考えになったことがあるか」

と、手を膝へ返すと、一応、唇をなめあげて、ろれつを改めた。

「あるまい!」

「…………」

「ないからこそ、あなた様は、淡々と、官位栄職を、邪魔みたいにぬぎ捨てて、さッさと、こんなところへ……隠居などしてしまわれたのだ。怪しからん」

「怪しからぬか?」

老公は、笑う。そして心配そうに寄って来た剣持与平を見て、

「わしは、怪しからん隠居だそうだ。怒るなと、そちから一杯、ついでつかわせ」

「いや、いらん」