Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lisez 大岡越前 (おおおかえちぜん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 218 436 caractères · 437 écrans
楽翁の言を、町の声とすると、庶民たちはもう、そんな事まで知っているのだ。
越前守は、心のうちで、
(ああ、裁かれている者は誰か)
と、自問自答していた。
楽翁は、かれの胸中に、何があるか、知るはずもなく、
「それにまた、町の者は、この事件の犯人を召捕るのは、北か南か、というところに、例によって、興味をもってもいるようです。……せがれ義平太も、南に出仕しておりますので、南の悪評を耳にすると、年がいもなく、腹が立ってなりませぬわい。……どうぞ、お奉行にも、御健康を第一に、こんどこそ、北の中山出雲守どの以下を、見事、鼻をあかせてやっていただきたいもので」
老人がいいたかったことは、この点らしい。町の者より、楽翁自身が、ひどくこの「北か南か」に、肩入れなのだ。――そこで自分の激励を終ったように、かれは処方の強腎剤一袋を、見舞において、帰って行った。
翌る日。――また、それからの毎日。
越前守は、平日どおり、奉行所に出仕し、白洲の訴訟を聴き、市政万般の公事を裁決して、変哲もない、平凡な忙しい日を送っていた。
就任以来、世評のとおり、この南町奉行所は、悪党狩りの方では、検挙の成績がわるく、数寄屋橋の揚屋や牢獄は、すこぶる閑散なものだったが、市政方面には、着々と、行政の効果をあげていた。