Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lisez 大岡越前 (おおおかえちぜん) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 218 436 caractères · 437 écrans
あらゆる理由はあるに似て、実は何もないのである。あるのはただお袖だけだ。もしお袖との相愛に祝福される境遇を得たら、ほかの理由はことごとく泡沫のようなものだったことを悟ろう。青春の問題の多くがこれだ。――市十郎の場合も例外ではなかったのである。
「オオ寒。くたびれ儲けさ。どうしても買手がねえよ。宝の持ちぐされとはこのことだ」
やがて久助が帰って来た。売りあるいた印籠は、どこへ見せても売れないという。理由は、蒔絵の構図が、葵の紋ぢらしになっているせいだった。
葵の紋は、お犬様と同じだ。さわらぬ神に祟りなし、誰も嫌うのが常識である。まして久助の身なりとそれを見較べては、買手がないのは当然といえる。
「……だがネ市の字。こんな物を、ちッとばかり買って来たから、お燕坊に、やってくんな。この子に罪はねえものを。なあお燕坊。……オヤ、笑ったよ、おれを見て」
飴の袋と、まんじゅうの包みを出し、久助はお燕にそれを喰べさせた。――見れば、久助は、着ていた上着を失って、襦袢ひとつになっている。あの垢じみた一張羅をどこかで脱ぎ、そして、わずかに買ってきたおみやげにちがいない。