Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

まつのやろはち

松のや露八

吉川 英治

Lisez 松のや露八 (まつのやろはち) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 125 597 caractères · 253 écrans

Aozora Bunko

三

(……もう来ない)

と、肚の底で云った。

二月もあと幾日もない。京都もどこかぽかぽかと陽なたのにおいがしはじめている。安宿までの間を、露八は、ぶらぶらと歩いてゆく。

「江戸はいいな」

露八にはどうしても馴じめないここの空気だった。

土佐侍、長州侍、薩州弁が、ここでは肩をいからし、大きな刀を、かんぬき差しに歩いている。

江戸者といえば芸妓でも時勢おくれの人間のようにいうし、こまちゃくれた舞妓や仲居までが、攘夷とか、幕府がどうとか、将軍家を批判にかける。ご用聞きや町の童は、さかんに、葵は枯れる――と流行節を唄っていた。

江戸者の露八には、そうした声や世態が、本能的に、むかむかして来る。いちいち、面当てをされてるように思えてならなかった。

三

三条大橋詰の旅舎の前にも、志士とよぶ閂ざしが五、六名かたまって、旅舎の立て札に、何かぶつぶつ云っていた。

「クヮイズ藩とは何じゃ」

指さして、一人がいう。

「何、クヮイズ藩、そんな藩が、わが国にあったか」

「ここにある。――クヮイズ藩御役方御宿所、とあるではないか」

「会津だろう」

「会津藩か、はははは。しからば、今度京都守護職とかいって、公方方の尻押しに、上洛った者の家臣が泊まっているとみえるな。