Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

Lisez 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 209 260 caractères · 418 écrans

Aozora Bunko

「郡奉行の鷲尾どのと、老公のおふたりをのぞいては――」

文八は、おとといの夕方、江橋林助が増井川の附近で見かけたという怪しげな旅商人のことなど思い出していた。それに関連があるのではなかろうか――と、さまざまな想像をめぐらしはじめた。

たれいうとなく、

(老公のご身辺も、よほどご注意申しあげぬと……)

などと暗に危険を示唆する声はふだんにも聞くことだった。

といって、そのひとに、

(なぜ?)

と、たずねても、誰も答えはしないのである。また、明確に分っているものもないのである。

にもかかわらず、この清隠の一高士のまわりには、なんとなく去来する暗雲のようなものが感じられた。

漠としてではあるが、

(老公は由来、幕府から忌まれておいでになる。老公の御事業は、反幕的の尤なるものと、幕府の学者はみな口をそろえて、将軍家へ讒している。また政治的には、柳営第一の権臣柳沢吉保が、肚のそこから老公を憎んでいる)

それらの事が、つねに人々の心を、なんとはなく脅かす根柢となっているらしい。文八も、それだけは、是認する。

しかし、それと雪乃母娘と、なんの関連があろう。――要するに、まったく別問題か。