Classiques japonais avec furigana
ja-reading.com
Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
ばいりせんせいぎょうじょうき
梅里先生行状記
吉川 英治
Lisez 梅里先生行状記 (ばいりせんせいぎょうじょうき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 209 260 caractères · 418 écrans
白石助左衛門といえば、いまは亡き人であるが、雪乃の良人だった者である。
「では。……雪乃の娘か」
「さようでございます」
「そちも独身。許嫁のあいだとでもいう仲か」
「いえいえ。そんな次第ではございません」
「それに似たような程度か」
「……どうも寔に」
悦之進は途方にくれるほど、ただ羞恥んでしまっている。もう三十近いが、その容子は童貞の潔白を証明している。
槍術は天性の上手。剣は真陰流をきわめ、幼年から朱舜水に師事し、また心越禅師に侍座して、侍ひとかどのたしなみは修めた者とは――老公の眼からも、今は見えないほどな彼の困り方である。
「ははは、悦之進、ひどく閉口いたしたな。こんな折には、禅もだめじゃろ。そちの日頃よくいう禅の肚でも――」
「だめですな」
とうとう兜をぬいだ形である。悦之進は、腋の下に汗をおぼえながら、頭を掻いて、一矢酬いた。
「ご老公にはかないません。ご自身のお若いころに、人すぐれてご修行がありましたから」
「いいおるぞよ」
と老公は反らして、林助へ笑いかけながら、
「そちなどはまだわけて未熟、悦之進の学問武芸には見習うても、わき道には見習うな」
と、いった。